税金の世界史を読んだ
税金の世界史を読んだ
最近増税が話題なので税金の歴史上の流れを知るために「税金の世界史」を読んでみました。以下気になったトピックの抜き書きです。
戦争と税金の関係は切り離せない
この本では繰り返し戦争と戦費を補填するための増税について語られています。古くは7000-10000年前のメソポタミアでの都市間の戦争に必要な費用が税金として徴収されたことから始まります。
近代までは基本的に戦争と増税を繰り返しています。
マグナ・カルタの税法上の重要性について
世界史を学んでいればマグナ・カルタというものを聞いたことはあるかと思います。
語感が面白いので「口に出して読みたい単語」ランキング上位に入りそうという以外の印象は無く、この法律が税法上重要な意味を持つとは知りませんでした。
マグナ・カルタの下記の条文が重要のようです。
- 自由なイングランドの民は、国法か裁判によらなければ自由や生命、財産を侵されない。(第38条)
「国庫が心許ないから法の根拠なく徴収する」というような行為を禁ずることによって民主主義の扉が開かれました。
香港という「小さな政府」の成功
香港の財務長官であったジョン・ジェームズ・カスパスウェイトにより香港は低税率、自由貿易の国家として成功しました。
彼は資源も何もない小さな島である香港を成長させるためには、できるだけ政府の干渉を少なくするべきだと考ました。宗主国である英国からの介入を避けるために統計情報の集計すら避けた、というのはとても興味深かったです。
財務長官なのに統計情報の収集すら避けたというのは自分からあえて目隠しをして道を渡るようなものです。その強い信念が香港の発展に多いに貢献したというのは感動を覚えます。
資本主義というのは小さな政府のほうがより真価を発揮しやすいように思えます。社会保証がその分手薄になりますが高成長の時代にはメリットの方がデメリットを上回って余りあります。
大きな政府への指向
20世紀のイギリスにて富の格差を少なくし、社会保障を整備するために大きな政府が生まれます。
嵩む社会保障費用の財源を他の国に求めるためにイギリスは第一次世界対戦に参加します。戦費が嵩み1914年には6%だった所得税が1918年には30%にまで引き上げられました。
また、納税義務が課せられたことにより選挙権も適用範囲が広がり、現代の我々が良く知る社会に近い国家となります。
フリーランスに対する増税の難しさ
昨今の企業の従業員として勤めるという働き方が減ってきており、会社に属さない国に属さない生き方が増えてきています。
特にデジタルノマドというITツールを武器に世界中のどこにでも移動する人間は納税義務を怠りやすいです。
人だけでなく、企業も国を跨ぐことが多くなっています。タックスヘイブンに資産管理会社を置いて、先進諸国には利益を生み出さずに資産管理会社に「ブランド料」「特許料」などの名目で金を振り込むスターバックスのような会社もあります。
働き方の自由度が上がるのは良いことなのですが、古い企業・従業員にその分の皺寄せが来としたらあまり愉快なことではないですね。