ゆるいブログ

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良き社会のための経済学を読んだ

良き社会のための経済学を読み終わった

 いいおっさんなのに、日曜にファミレスのドリンクバーでねばって読み切りました。

1部:社会と経済学、2部:経済学者の仕事、3部:経済の制度的枠組み、4部:マクロ経済学の課題、5部:産業の課題の5部で構成されます。

1部と2部は社会における経済学や経済学者そのものについての話です。

3部では国家と企業について語っています。

国家と市場が相互補完する関係であり、国家には市場の失敗を是正する機能があると説きます。

また、国家は市場に介入する必要があるが、選挙で選ばれた議員は世論に誘導されがちなので、より専門知識に基づいた適切な判断を行うために独立行政機関があるそうです。

また、企業が株式会社という組織を選んでいる理由について説明しています。

企業に関しては大きく投資家と従業員という2つのステークホルダーがいますが、株式では投資家が最終的な決定権を持ちます。投資家が決定権を持つ態勢は投資家の利益がないがしろにされないことによって円滑な資金調達を促し、そのことにより従業員の雇用は拡大し、従業員も得をするのだそうです。

4部は気候変動・フランスの失業問題・ヨーロッパ・金融商品と規制・2008年の金融危機と実際の問題について語っています。

一個一個の章が濃いのですが、特に気候変動についての章が面白い。なぜ各国政府が十分な対策を行わないのかについてインセンティブ設計の視点から書かれていました。

5部は最近の産業の課題について。競争力のある産業を育てるための産業政策・プラットフォームと二面市場・デジタル経済の社会的課題(個人情報・データの所有権、ビッグデータ医療保険、新しい働き方、格差の拡大)、知的財産権、規制産業。

5部ではプラットフォームと二面市場の考察が面白かったです。

二面市場というのは買い手の市場と売り手の市場のことで、プラットフォームは買い手と売り手をマッチングさせます。

プラットフォームは買い手と売り手をマッチングさせるだけでなく、片方の市場だけを優遇する、ということをします。

たとえばクレジットカードは買い手側にとっては便利なだけで損はなく還元すらある一方、売り手側には決済手数料を払わせています。

一方的に売り手に損な取引に見えますが、買い手側が不便な思いをして売り手側から商品を購入しなくなるよりはマシなので売り手はこの損な取引を引受けます。

言われてみれば単純な話ではあるのですがプラットフォームの捉え方としてとてもわかりやすく、現実に沿っています。

 

600ページ超の大部なので話題が盛り沢山です。知的好奇心を刺激されるとても面白い本でした。図書館から借りたので返さねば。